温浴施設を運営されていれば「レジオネラ症」への関心は高いはずですが、「万全か?」と聞かれると不安を感じる方もいるかもしれません。
以下、簡単なチェック・リストを用意してみました。
もし正解が少ない場合、しっかりとした知識を基にした対策が必要かもしれません。
レジオネラ症対策チェック・リスト
Q1:レジオネラ症でも死亡するケースがある? | ▢はい | ▢いいえ |
Q2:温浴施設でレジオネラ属菌が検出されたら保健所へ届け出なければならない? | ▢はい | ▢いいえ |
Q3:日本での発症数は減っている? | ▢はい | ▢いいえ |
Q4:ヒトからヒトへ感染する? | ▢はい | ▢いいえ |
Q5:ワクチンで感染予防できる? | ▢はい | ▢いいえ |
Q6:インフルエンザなどと同じ感染症に分類される? | ▢はい | ▢いいえ |
Q7:発生防止には浴槽などを丁寧に洗浄すれば充分? | ▢はい | ▢いいえ |
Q8:浴槽水検査で塩素が検出されれば良い? | ▢はい | ▢いいえ |
Q9:濾過器(ろかき)や配管内など、密閉されていれば、レジオネラ属菌の増殖は防げる? | ▢はい | ▢いいえ |
Q10:消毒さえしていれば問題ない? | ▢はい | ▢いいえ |
正解と解説
Q1:レジオネラ症でも死亡するケースがある? ✅はい
軽症例で済む場合が多いが、適切な治療がなされなかった場合、急速に症状が悪化し、死亡した症例があり、特別養護老人ホームなどでも発生している。特にレジオネラ肺炎を起こすと大変危険。意識レベルの低下、幻覚、手足が震えるなどの中枢神経系の症状、下痢などが特徴。
Q2:温浴施設でレジオネラ属菌が検出されたら保健所へ届け出なければならない? ✅はい
営業者が届けなければならない。
Q3:日本での発症数は減っている? ✅いいえ
近年、日本での発症数は増加している。また7月、9月に多く、温泉旅行などと関連していると見られる。
Q4:ヒトからヒトへ感染する? ✅いいえ
感染しない。エアロゾル(細かい霧やしぶき)の吸入などが主な感染経路。
Q5:ワクチンで感染予防できる? ✅いいえ
現在のところ、予防できるワクチンはない。
Q6:インフルエンザなどと同じ感染症に分類される? ✅いいえ
レジオネラ症は、インフルエンザなどが分類されている五類ではなく、ボツリヌス症、デング熱、サル痘、マラリアなどと同じ、四類に分類されている大変危険な感染症である。
Q7:発生防止には浴槽などを丁寧に洗浄すれば充分? ✅いいえ
浴槽だけを丁寧に洗浄してもレジオネラ属菌の危険は取り除けない。
Q8:浴槽水検査で塩素が検出されれば良い? ✅いいえ
塩素濃度があってもレジオネラ属菌の問題はなくならない(上水道を除く)。そもそも塩素による消毒は、pH値の高さ(アルカリ性の強さ)やアンモニア成分の有無などで著しく殺菌力が低下してしまうため。
Q9:濾過器(ろかき)や配管内など、密閉されていれば、レジオネラ属菌の増殖は防げる? ✅いいえ
地上に湧出した温泉や地下水は地表の空気に触れ酸素を含むようになり、それを栄養源として菌は繁殖する。つまり、直接空気に触れなくても菌は濾過器(ろかき)や配管の中で増殖し続ける。ジェットバス、気泡風呂、打たせ湯、シャワー、加湿器なども菌が発生しやすいとされている。
Q10:消毒さえしていれば問題ない? ✅いいえ
レジオネラ属菌はバイオフィルム※内に生息するアメーバの中で増殖するため、消毒だけでは除去・殺菌できない。バイオフィルムを除去する対策としては、配管全体の洗浄や濾材(ろざい)交換を定期的に行う必要がある。
※バイオフィルム=微生物が集まった、ぬめりのある膜。